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飲食×エンタテインメントの新たな挑戦。没入体験型謎解きレストラン「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」
文責:マーケティング・コミュニケーション課
セガ エックスディーは「ついやりたくなる」ゲーミフィケーションのナレッジを生かし、さまざまな企業のサービス設計をお手伝いしてきました。
株式会社モスフードサービスとの取り組みでは、「おいしい食事」を提供するだけではなく、ブランドの歴史や食材へのこだわりを楽しく学べる没入体験型謎解きレストラン「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」を実施しました。従来の飲食店プロモーションの枠を超えた取り組みは、いかにして満足度98%という高いエンゲージメントを実現させたのでしょうか。企画をけん引した株式会社モスフードサービスの川口直哉氏にお話を伺いました。
■ 「飲食 × エンタテインメント」異色のコンテンツが誕生した理由
――「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」というユニークなコンテンツについて、取り組みの概要をお教えください。
川口直哉さま(以下 川口):本コンテンツは「モスプレミアム」という、本格的なハンバーガーが楽しめる大人向けレストランにて開催しました。
モスバーガーには「トラベリンモス」という、レタスやトマト、パティといった具材をモチーフにした子ども向けコンテンツに登場するストアキャラクター」たちがいます。今回はそのキャラクターたちの名前から着想を得て、中世ヨーロッパの小麦やバンズで名高い名家「トラベリン家」を舞台にした没入型謎解きレストランを企画しました。
お客さまは単なる来店客ではなく、トラベリン家の新人メイドや執事見習いという“登場人物の一員”として迎え入れられます。約90分のコンテンツの中で、個性豊かな登場人物たちとの対話を通してヒントを得ながら、暗号(謎解き)を解読し、最終的に幻のレシピである「最高の一品(ハンバーガー)」を完成させることに挑んでいただきます。
おいしい食事をただ提供するだけではなく、コンテンツを通じてモスバーガーの食材へのこだわりや歴史を楽しく学んでいただく、「食としてのエンタテインメント」の側面も持った新しい体験型の取り組みとなっています。
――このような取り組みを開発するに至った背景には、どのような課題があったのでしょうか。
川口:飲食店は「おいしいだけでは選ばれなくなっていく」という危機感がありました。今の時代、お客さまはSNSなどを通じて「情報を食べている」状態です。流れてくる情報を見て、「あの店の映えるパフェを撮りたい」といった来店のモチベーションが生まれてくる。ただ料理がおいしいというだけでは、お客さまの心を惹きつけることが難しくなっているのです。
そのため、当社の店舗も食事だけではない体験ができる場所にしたいと考え、モスというブランドとエンタテインメントを融合した「モステインメント」という概念を掲げて、新しい挑戦をすることにしました。セガ エックスディーさんとの対話の中で、付加価値を与えることで、食事以外にも来店する目的を作ろうという方向性が決まり、最終的に「没入体験型謎解きレストラン」に決定しました。
――今回の取り組みで「没入体験×謎解き」を採用したのはなぜでしょうか?
川口:物語の世界に入り込む「没入体験」と「謎解き」との掛け合わせが、モスバーガーのこだわりを知ってもらいながら、最もお客さまに楽しんでいただける形だと考えたからです。例えば、ただバズルゲームで遊びながら食事をするだけだと、体験自体は楽しいかもしれませんが、ブランドとの関連性が弱く、モスバーガーのファンになってもらうのは難しいですよね。また、これまで商品コラボや店舗でのイベントも実施してきましたが、それらは一時的な認知拡大に留まってしまうと考えています。
一方、この「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」では、プロの役者が登場することで深い没入感を作り出し、お客さま自身に当事者意識を持って謎解きに参加していただきます。そのストーリーの中には、モスバーガーの素材や調理へのこだわりが、暗号を解くヒントとしていくつも登場します。物語の登場人物として自ら謎を解き明かすという深い体験をしてもらうことにより、自然とモスバーガーについて知ってもらうことができ、記憶にも残りやすいと考え、「没入体験×謎解き」という形式が最適だと判断しました。
――飲食店としてはめずらしい取り組みだと思いますが、企画を推進するにあたり、社内におけるハードルはありましたか?
川口:社内からは、大きく分けて2つの懸念の声が上がりました。1つは「本当にお客さまを呼べるのか」という集客への不安、もう一つは「店舗でこのような企画が実現できるのか」という実現性への懸念です。
集客への懸念は、情報発信などによって、一定の集客目標を達成することができました。企画の実現性については、現場での現実的なオペレーションに調整することで懸念を払しょくできたと思います。セガ エックスディーさんの最初の提案は、店舗の従業員がキャストを演じるというものでした。しかし、お客さまが没入できるクオリティを担保するには、“やらされ”感があってはいけないと判断し、専門の役者さんをキャストとして雇用する形をとりました。プロのキャストが楽しんで演じてくれることで、お客さまのワクワク感とのバランスがとれたと感じています。
■ 「うちでもエンタメ企画ができる」という成功体験が大きな成果
――「モスプレミアムシアター」の実施後、どういった成果が得られましたか。
川口:参加したお客さまにアンケートをとったところ、約98%が「満足した」と答えていただきました。さらに95%のお客さまが「学びがあった」と回答されています。謎解きという体験だからこそ、モスのこだわりを一方的に押し付けるのではなく、お客さまが自ら楽しく学ぶという満足感のある体験になったのではないかと思います。フリーコメントでも「○○について知ることができた」と具体的なこだわりを挙げてくださる方や、「友人にも教えたい」といった反響も多く、当社のこだわりがしっかりと届いていることを実感できました。
定量的な成果としては、店舗の売上や認知度が大幅に向上しました。単にイベント参加者の売上が加算されただけではなく、それ以上の相乗効果がありました。本イベントをきっかけに「モスプレミアム=楽しいことをやっているお店」という印象が生まれ、プロモーション効果が得られたのだと分析しています。
なにより、飲食業である私たちでも、こういった体験作りが可能なんだと実証できたことが一番の成果でした。開催店舗で働く従業員が、子どもを連れて参加するなど楽しんでいて、現場のモチベーションにも貢献できた点もよかったですね。
【セガ エックスディーのプランナーが語る!】 「モスプレミアムシアター」に活用したゲーミフィケーション
モスプレミアムシアター(トラベリン家の言い伝え)では、単なる美味しい食事の提供(機能的価値)を超え、エンタテインメント性(没入体験×謎解き)を掛け合わせることで、食事以外の新しい来店目的を創出する「モステインメント」という体験を目指しました。 主に「圧倒的な没入感と記憶に残る体験」と「店舗体験価値の向上とファン化」を促すために、ゲーミフィケーションによる体験設計を行いました。
●圧倒的な没入感と記憶に残る体験
参加者を日常から切り離し、体験を「他人に話したくなる強烈な記憶」として定着させるために、ゲーミフィケーションの手法である「世界観(自律欲求)」と「もやもやスッキリ(保存欲求)」を活用しています。
・世界観(自律欲求)
没入感のために一貫したテーマや背景ストーリーをサービスの細部に反映する手法です。
今回は「トラベリン家の言い伝え」というフィクションの物語をベースに、登場人物、台本、提供される料理、空間のすべてにおいてモスバーガーが主役となるように構築しました。参加者は「トラベリン家の新人執事・新人メイド」という役割を与えられ、プロの役者(キャスト)とアドリブを交えたリアルなコミュニケーションを行うことで、現実から切り離された圧倒的な没入感を得ることが出来るよう設計しています。
・もやもやスッキリ(保存欲求)
ユーザーの既存の知識や直感に合致せず、なんとなく落ち着かない気持ちになるような状態をあえて提供し、かつその状態を解消するための道しるべを示すことによって、行動を喚起する手法です。
冒頭でメイド長に促されて「おかえりなさいませ!」と挨拶の練習をするなど、あえて恥ずかしさや緊張、謎解きの難しさといった「心理的負荷(コスト)」を参加者に課しています。あえて適度な緊張状態をつくり「ストレスデザイン」をすることにより、体験による記憶定着の最大化を目指しています。緊張状態から謎がすべて解けて「最高のハンバーガー(最高のアレ)」が完成する「スッキリした解放感(リターン)」へ繋げることで感情の大きな振れ幅を作り出し、体験価値を高めます。また、謎解きの中にも他人に話したくなる「豆知識」を入れ込むことで、「お土産」としての強い記憶を生み出す設計にしています。
●店舗体験価値の向上とファン化
飲食業界における価格競争や他社との差別化の難しさを乗り越え、ブランドの強みである「食材へのこだわりや歴史」という付加価値を効果的に伝え、ファンになってもらうために、ゲーミフィケーションの手法である「一石二鳥チュートリアル(自律欲求)」と「自律的選択(有能欲求)」を活用しています。
・一石二鳥チュートリアル(自律欲求)
押し付けることなく、ユーザーが楽しみながら自然と知識や情報を習得できるようにする手法です。
モスバーガーが伝えたい食材へのこだわりや歴史は、一方的に発信するだけでは顧客に届きにくいという課題がありました。そこで、これらのこだわりを「謎を解き進めるための必要な手がかり(手段)」としてストーリーの中に自然に散りばめました。参加者は「謎を解く」という自身の目的のために能動的に情報にアクセスするため、押し付け感がなく、体験を通じて自然とモスのファンになって帰っていただく仕組みになっています。
・自律的選択(有能欲求)
「自分の意志で選択した」「よい選択ができた」とユーザーに感じてもらう手法です。
簡単な問題をクリアしても手応え(有能感)は生まれないため、謎はあえて難しめに設計(心理的コスト)。キャストは直接的な答えを教えずヒントを出すだけに留めます。キャストとのやり取り(サポート)を経て、参加者自らが頭を悩ませて自力で正解にたどり着いた瞬間に、「自分の力で解き明かした!」という強烈な自己効力感を体験することができます。この感情の振れ幅が有能欲求を強く満たし、深い納得(腹落ち)と自発的な動機づけを生み出すことにつながります。
■ ゲーミフィケーションで飲食体験をアップデートする
――セガ エックスディーと協業する中で、良かったと感じている点について教えてください。
川口:モスが伝えたいブランドの想いやこだわりを、セガ エックスディーの担当者の方がしっかりと「翻訳」し、エンタテインメントの形に落とし込んでくれたことですね。単に謎解きの問題や台本を作って終わりではなく、本当に二人三脚で伴走していただきました。例えば、最初はキャストは4人の設定で台本を作ってくださったのですが、4人のキャストを用意するのは難しいと伝えて3人に調整していただきました。セガ エックスディーさんは、お客さまの体験のどこで発見があり、どう次のアクションにつながるのかという「動線設計」や「文脈」を緻密に考えてくださいました。
――「ゲーミフィケーション」という考え方について、もともとの印象や、実際に取り組んでみてのギャップはありましたか?
川口:取り組む前は、どうしてもデジタルゲームやスマホアプリといった「画面の中で行うゲーム」のイメージが強かったです。しかし、実際に店舗というリアルな空間での体験設計もゲーミフィケーションの一つなのだということを知り、驚きました。ゲーミフィケーションは、人が夢中になる体験を設計する強力なツールなのだと認識が大きく変わりました。商品だけでは差別化が難しく、お客さまとの関係も希薄になりがちな飲食業において、ゲーミフィケーションは非常に相性が良いと感じました。
飲食店でよく見られる施策は、「対象商品を買うと付録や特典がもらえる」という形ですが、それだと肝心の「食」そのものに注目が集まらないんですよね。その点、ゲーミフィケーションであれば食の体験を損なわずに付加価値を提供できる。それが最大の魅力だと思います。
――ゲーミフィケーションを取り入れた施策を初めて実施するにあたり、意識したポイントはありましたか?
川口:現場が熱量を持って取り組めるように、店舗運営としてできること・できないことはセガ エックスディーさんにはっきりと伝えました。現場がついてこられないイベントでは、熱が生まれず、お客さまもしらけてしまいます。そうするとビジネスとしての価値やブランドへの貢献にはつながらないでしょう。
ゲーミフィケーションに限ったことではありませんが、私はモスプレミアムを含むグロース事業に関してはチャレンジすることをやめたくないんです。「面白いことは全部やろうよ、ダメだったらいいじゃん」という精神です。施策に価値があるかは、本当にやりきったうえで判断しなければならないので、適当にやってダメでしたでは意味がない。なので、今回の取り組みでも役者を雇うなど、こちらの本気度が現場の店舗にも伝わったのではないかと考えてます。
――最後に、「モスプレミアムシアター」も含めて、貴社の今後の展望についてお聞かせください。
川口:「モスプレミアムシアター」は、前回参加者の皆さまから好評をうけ、2026年8月より第2弾として再演することが決定しました。また、今後はモスプレミアムシアターだけではなく、広くゲーミフィケーション要素を取り入れた体験を提供する「モステインメント」のブランドを確立していきたいと考えています。当社は和食チェーンや紅茶などのブランドも展開しているので、そういったモスプレミアム以外のブランドでの展開もいずれは挑戦したいですね。また、イベントの内容も謎解きに限らず、様々なエンタテインメント体験へと広げていけると考えています。まずはモスプレミアムで成功事例をしっかり作り、グループ社内で横展開していきたいです。
飲食店が、エンタテインメントやゲーミフィケーションを取り入れる動きは、今後業界全体に広がっていくと考えています。これまでの飲食業界も、「目の前で熱々のチーズをかける」「キンキンに冷えたビールが出てくる」といった魅力的な体験でお客さまを楽しませようとしてきました。これからは、さらにその体験の幅が広がっていくと思います。
最初に申し上げたように、今の時代は情報も一緒に食べることで食事を楽しむスタイルが浸透しています。飲食店の素材や調理方法へのこだわりを知ると、その分美味しく感じられると思うんです。なかなか興味を持ってもらうのが難しいのですが、今回のイベントのように楽しく知ってもらうきっかけが作れるのであれば、取り組む価値は大いにあると思います。これからも、セガ エックスディーさんとの協業を通じて、飲食店の体験づくりの可能性を広げていけたらと思っています。
「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え 」が2026年8月より再演!
没入体験型謎解きレストラン「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」が、 好評につき早くも3ヵ月ぶりの開催となりました。
・開催日時:2026年8月8日(土)~9月23日(水・祝)の期間限定
・開催場所:モスプレミアム 桜木町クロスゲート店(横浜市中区桜木町1丁目101- 1 クロスゲート 1F)
※詳細は、こちらをご参照ください:https://peatix.com/event/5116054
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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