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【鹿島建設】95%が「楽しい」と回答! 万博で「楽しい」と「学び」を両立したワークショップの舞台裏とは
セガ エックスディーは「ついやりたくなる」ゲーミフィケーションのナレッジを生かし、さまざまな企業のサービス設計をお手伝いしてきました。
2025年大阪・関西万博会場で開催されていた鹿島建設株式会社の常設展示「KAJIMA謎解きベース」と、ワークショップ「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」にもセガ エックスディーの体験設計のノウハウが活かされています。本施策では、万博という空間に遊びに来た子どもたちに、展示やイベントを楽しんでもらいながら、鹿島建設の技術を印象深く記憶に残してもらうことを目的に、ゲーミフィケーションを活用したコンテンツが導入されました。
ゲーミフィケーションを活用した舞台裏について鹿島建設株式会社 広報室 広告・デジタル広報グループ 主任の前表 和宏さまに伺いました。
■ 万博に遊びに来た子どもたちに、楽しく鹿島建設の技術を知ってもらう
――まずは万博会場で展開された「KAJIMA謎解きベース」「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」ついて教えてください。
前表 和宏さま(以下 前表):鹿島建設は、大阪・関西万博の「グリーン万博・ジュニアSDGsキャンプ」のブロンズパートナーとして、同会場内の環境配慮型コンクリートドーム「サステナドーム」の建設に携わりました。サステナドームは主に小学生~高校生がSDGsについて学べる場として作られています。
万博の開催期間中、鹿島建設はサステナドーム内の常設展スペースやイベントの時間を活用し、「KAJIMA謎解きベース」および「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」を開催しました。
常設展の「KAJIMA謎解きベース」は、謎解きマップをもとに、サステナドーム内にある展示物に触れたり、鹿島建設が建設した万博会場内の他の建物を訪れたりすることで、謎を解き明かしていく謎解きゲーム体験です。
「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」は、時間予約制のワークショップで、謎解きと演劇を組み合わせた1時間のイベントです。天才科学者とその助手が、参加者の子どもたちに講義をしているところに、仮面をかぶった謎の「怪人」が現れて会場をのっとります。危険にさらされた万博会場を救うために、参加者は怪人が突き付けた謎に立ち向かうというストーリーです。
どちらの施策も、サステナドームの建設に使われた最先端の環境配慮技術が、謎解きのキーになっています。大気中のCO2を吸収して固まる新しい“CO2吸収コンクリート”が今回の目玉技術です。
――万博の施策に「謎解き」というゲーミフィケーション要素を取り入れるに至った経緯は?
前表:今回の施策は、万博というワクワクする場に遊びに来た子どもたちが対象になります。環境問題やSDGsといった真面目なテーマを、ただ説明するだけではつまらない。そこで、元々は鹿島建設の技術を使った科学ショーや、コンクリートを用いてペンダントを作るものづくりワークショップなどの案も検討していました。しかし、その場の「楽しい」だけで終わらずに、しっかり知識を持って帰ってほしいという想いもあり、決め手に欠けていました。そんな中、「楽しさ」と「知識の定着」を両立できる「謎解き」コンテンツのことを知り、ぴったりだと思いました。
また、万博という大きなイベントの場で、今までにないチャレンジをしてみたいという想いもあり、セガ エックスディーさんの力を借りてこのようなコンテンツの製作に初めて挑むことが決まりました。
その後は、トントン拍子に進行しました。最初にワークショップを「謎解き+演劇」にする方向性となり、常設展示もそれにトーンを合わせる形で謎解き要素を入れることになりました。
■ 鹿島建設が伝えたい知識と、謎解きのストーリーが絶妙に接続
――謎解きの制作にあたって、セガ エックスディーとどのような取り組みを行ったのでしょうか?
前表:鹿島建設からは、常設展とワークショップそれぞれで使える空間の広さや設備、また覚えて帰ってほしい環境配慮技術についてのキーワードをお伝えしました。
その後、セガ エックスディーさんから「ポイントはここで合っていますか?」と確認が来て、それが非常に的を射ていたので驚きました。その次のミーティングで、早速そのポイントの要素を入れ込んだ謎解きのストーリーと問題を提案いただきました。
例えば、サステナドームを作る際には、CO2吸収コンクリートを吹き付けて何層にも重ねる形で建設しているんです。会場では、壁に空いた穴からその層の断面を見ることができます。この「吹き付ける」という要素を生かして「水を吹き付けることでヒントが浮かび上がってくる」という謎解きの仕掛けを作ってくれました。
謎解きの制作に関しては一切をお任せしていたのですが、サステナドームの条件と、鹿島建設の伝えたい技術の要素をうまく満たして謎を作っていただきました。
――謎解きの問題の難易度はどのように調整したのでしょうか?
前表:実際にワークショップ企画の関係者の子どもたちに協力してもらい、リハーサルを行いました。
事前に私や他の社員が解いた時、大人でも難しいと感じる問題があったんです。そのため「子どもには難しすぎるのでは?」と少し懸念していました。
ところが、意外にも子どもたちはチームで協力しながら解き進めていたので驚きました。みんなで解いていると、一人が分からなくても会話の中でヒントに気づいて「そういうことか」と前に進んでいました。そういったリハーサルの様子を見て、「この説明が分かりづらかった」「この問題が簡単すぎた」といった気づきを得て、謎の難易度を調整していきました。
問題は全部で11問あり、それらを全部解いてゴールにたどり着けるストーリーなので、参加したすべてのチームにクリアしてもらいたいという想いがありました。
謎解きは簡単すぎるとすぐ飽きてしまうけれど、難しすぎるとやる気がなくなってしまう。そこで、小さなハードルをいっぱい用意し、それを少しずつクリアする喜びで次の謎に向かってもらうことが大事なのだと、セガ エックスディーさんに教えていただきました。
■ 参加者の「楽しい」と「学び」を両立し、知識の定着に成功
――実際に実施されてみて、万博会場での手ごたえはいかがでしたか?
前表:1時間のワークショップを見ていると、たくさんの子どもたちが楽しそうに走り回っているのが印象的でした。子どもたちが次の謎を早く解きたくて会場内を駆け回っていくんですよ。これまで鹿島が展開してきたワークショップでは見たことのない光景で、新鮮でした。
これまでのイベント施策では、建設やコンクリート開発の技術について当社の社員が説明するとどうしても真面目な雰囲気になってしまって……。「真面目な話題でも、こんなに楽しくエンタメ的に見せることができるんだ」と、驚きましたね。
――施策の定量的な成果はどのように表れていますか?
前表:常設展の「謎解きマップ」は、初版では2万5,000部を準備していました。予想以上にご来場いただいたため、増刷を重ね、最終的には当初の約4倍となる9万2,500部をお渡しすることができました。4月に万博が始まって以来、1日平均500人程度の方に楽しんでいただいていることになります。
ワークショップは、すべての回でほぼ定員となる645人。保護者の方など見学も含め、718人とご好評いただきました。ワークショップ参加後のアンケート結果では、「とても楽しかった」「楽しかった」という回答が95%以上に達しました。大人を含め、これだけ多くの方に満足いただけたことは喜ばしい成果です。
また、一番の目的だった「知識の定着度」についても満足のいく成果が得られました。目玉技術の環境配慮型コンクリートの名前は「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」と言います。ワークショップ後のアンケートで「どんなことを覚えていますか」という質問に、「CO2-SUICOM」と答えてくれた人は過半数、さらに「活炭素」に至っては6割を超えていたんです。
「イベント終わりには、記憶に残らないのでは」と心配していましたので、これは嬉しい驚きでした。当初の狙い通り、参加者が「謎解き」を通して手を動かしながら主体的に学んだことが、高い定着率につながったと考えられます。
――セガ エックスディーとの取り組みにあたって、意識したポイントはありますか?
前表:意識したわけではないですが、謎解きのヒントとなり得る素材を全て提供することが、結果、重要なポイントだったと考えています。
セガ エックスディーの担当者の方には、実際に万博会場や当社の実験場まで足を運んでいただきました。サステナドームの建設やコンクリート開発に携わった技術者と直接対話する機会を設けたことで、広報担当の私だけでは伝えきれない詳細な情報も、伝えることができたと思います。
――セガ エックスディーに依頼してよかったポイントはありますか?
前表:プロジェクトのスケジュール通りに、毎回的確な提案をいただき、非常に満足しています。いただいたアイデアに対してフィードバックや感想を伝えると、すぐに更新されたものを提供してくださいました。
実は、会場や設備が謎解きイベントの実施に十分なのかが、不安でした。限られたスペースをどのように活用できるのかと懸念していた中、会場を視察したセガ エックスディーさんはむしろ「謎解きに向いている形状なのでは?」とポジティブに捉え、話を進めてくださいました。このような発想の転換は私たちにはなかったため、非常に頼りになりました。
視察の場で熱心に質問してくださって、我々が伝えたい内容を的確に理解したうえで、それを参加者にどう伝えたらいいか関係者同士で意見交換されていたのが印象的です。その様子に非常に安心感を覚えました。
――今後、貴社の他の施策でもゲーミフィケーションを活用したいと思いますか?
前表:鹿島建設は、業界の一員として建設業を魅力的なものだと伝えていきたいと考えています。そこにゲーミフィケーションを活かせるのではないかと、今回の万博での取り組みを通して実感しました。
これまでも建設技術の重要性を伝えるためのイベントなどを実施してきましたが、小さな装置を使ったデモンストレーション形式で、一方的な発信になりがちでした。ゲーミフィケーションを活用することで、今回の万博のように、鹿島建設や建設業界に興味がない層にも満足感を提供し、記憶にも残すことができることを感じました。受け手が楽しく自発的に学べる点が、ゲーミフィケーションの大きなメリットだと感じています。
鹿島建設は、仕事体験のイベントなどにも出展しています。そういった場でもゲーミフィケーションの考え方を用いた施策ができれば、より多くの子どもたちに建設業界への興味を喚起できると思います。それらの取り組みにおいても、これまでの施策とは異なる体験を提供できるようになると期待しています。
【セガ エックスディーのプランナーが語る!】鹿島建設のSDGs謎解き体験に活用したゲーミフィケーション
鹿島建設が実施した謎解きコンテンツ「KAJIMA謎解きベース」「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」は、ゲーミフィケーションの特性を活かしたプロモーション施策として設計しました。本施策について、ゲーミフィケーション(ここでは謎解き)の特徴と、体験のポイントについて解説します。
● プロモーション施策におけるゲーミフィケーションの特徴
ゲーミフィケーションは、ゲームの夢中にする力を非ゲーム分野に活用することです。プロモーション施策においては、以下のアクションを促すことを得意としています。
・認知獲得 : エンタテインメントの要素で、興味を惹き、情報に触れるきっかけをつくる
・理解促進 : 楽しい体験に仕立てることにより、自発的な学びを促す
・行動変容 : やりたい気持ちを引き出し、実際の行動につなげる
今回の施策では、子どもたちへSDGsの取り組みを知ってもらうこと(認知獲得)と、キーメッセージである“活炭素”の深い理解(理解促進)、関連パビリオンへの回遊(行動変容)を目指して、ゲーミフィケーションを活用した体験設計を行いました。
特に謎解きコンテンツを通じて、子どもたちの興味関心を引き出し、能動的な学びと行動につながる仕掛けを構築しています。
● 体験のポイント
「KAJIMA謎解きベース」では、サステナドームの内と外で異なる体験を用意し、行動経済学の視点も取り入れました。
・ サステナドーム内
サステナドームの特徴である「CO2吸収コンクリート」を知っていただくべく、謎解きの問題に「スタンプを押す」「穴をのぞき込む」といったアクションを促す仕掛けを取り入れました。謎解きと、アクションを組み合わせることにより、経験を伴ったより深い理解を促すことにつながります。
このアクションを促す仕掛けには、ゲーミフィケーションの手法である身体を動かす楽しさを体験の中に取り入れる「身体アクション」や、視覚的に強い印象を与える「視覚的インパクト」を活用しています。
・ サステナドームの外
鹿島建設は、万博において4つの施設を手がけました。それらの施設にも来場者に足を運んでもらうため、施設の外観をヒントにした謎を設計しました。
「ついやりたくなる」体験を生み出すナッジ(行動経済学)の要素を取り入れ、外観だけでも見に行きたくなるよう、外見的特徴を活かした問題を設計することで、各施設の周遊を促しました。
「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」では、鹿島建設が伝えたいキーワード「活炭素」を中心に、2つの仕掛けを設計しました。
・伝えたい技術をアクションに変換
活炭素で活躍する「CO2吸収コンクリート」の特徴を、謎を解くためのアクションに落とし込みました。例えば、指定された場所のコンクリートに水を吹きかけると問題が現れるという仕掛けは、実際の施工工程である“吹きかける”動作を想起させるものです。
このように、技術の特性を体験に変換することで、参加者が手を動かしながら能動的に学び、記憶に残る設計が施されています。
さらに、閉じ込められた空間から脱出するというストーリーを通じて、謎解きに没入しながら技術への理解を深める構成としています。
この体験には、水をかけるなどの「身体アクション」や、ストーリーを作り、没入感を高める「ストーリーテリング」「世界観」というゲーミフィケーションの手法を活用しました。
・必殺技のように伝えたいメッセージを叫ぶこと
「活炭素」という言葉を印象づけるため、ボスを倒す“必殺技”のような演出に組み込みました。最終問題では、参加者全員が協力して謎を解き、導き出されたワード「かつたんそ(活炭素)」を声に出して叫ぶことでクリアとなります。
このように、全員が協力して謎を解き、必殺技のように叫ぶ演出によって、「活炭素」という言葉が記憶に残る体験となるよう設計しました。
この体験には、声に出して叫ぶ「身体アクション」や、参加者全員で謎を解く「共通目標」というゲーミフィケーションの手法を活用しています。
■ 関連リンク
・ニュースリリース
https://segaxd.co.jp/news/newsrelease/e04a6d66287f1adb36ea4e7f61b84a24bb9ab93d.html
・大阪・関西万博 ジュニアSDGsキャンプ「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」
実施の様子(本編)
https://www.youtube.com/watch?v=-mVg0iHlRzU
・大阪・関西万博 ジュニアSDGsキャンプ「KAJIMAなぞときワークショップ サステナドームの怪人」
実施の様子(ショートver)
https://www.youtube.com/shorts/JhtgVfodKLw
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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