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【Conference Report 4】革新的な3つの取り組みが受賞。『Gamification Award 2025』レポート

文責:マーケティング・コミュニケーション課

11月に開催された『ゲーミフィケーション カンファレンス QUEST』。本カンファレンス内で『Gamification Award 2025』の表彰式が執り行われました。本記事では表彰式の様子をレポートします。

※2025年に開催した『ゲーミフィケーション カンファレンス QUEST』の様子はこちらよりご参照ください

■ Gamification Awardとは


『Gamification Award 2025』は、ゲーミフィケーションを活用している優れた取り組みを実施した企業・団体を表彰する年間アワードです。

今回、2024年10月~2025年9月に、ゲーミフィケーションに関する取り組みを発信している企業・団体を審査対象としました。全部で600を超える取り組みの中から、3点の優れた取り組みが選出されました。

表彰部門は、社会に広く受け入れられ、実効性の高いソリューションを提供した取り組みに贈られる「Best Solution Award」、未来のスタンダードを切り開く取り組みに贈られる「Future Award」、従来の枠にとらわれない新しい切り口や挑戦的な取り組みに贈られる「Challenge Award」の3つです。



以下の4名の専門家が、審査委員を務めました(※敬称略)。

 ・井上 明人: 立命館大学 映像学部 准教授
 ・岸本 好弘(きっしー): 遊びと学び研究所 ゲーミフィケーションデザイナー Lv.99
 ・藤本 徹: 東京大学大学院 情報学環 教授
 ・谷 英高: ゲーミフィケーション研究所 所長 /
       株式会社セガ エックスディー 代表取締役 社長執行役員CEO



■ 3部門を受賞した取り組みを発表。各社のユニークな視点を審査委員が評価

● Best Solution Award

Best Solution Awardは、コクヨ株式会社『しゅくだいやる気ペン』に贈られました。『しゅくだいやる気ペン』は、取り組んだ宿題の量に応じて、すごろくを進めアイテムを獲得できるIoT文具です。市販の鉛筆に取り付け、スマートフォンアプリと連動させることで、勉強への取り組みを「やる気パワー」として見える化し、子どもたちの学習への意欲を高めるために開発されました。

『しゅくだいやる気ペン』詳細


< 受賞コメント >

コクヨ株式会社イノベーションセンター やる気ペンユニット 中井 信彦 氏

この度は、こういった賞をいただけて、大変光栄です。『しゅくだいやる気ペン』は、2019年からスタートして、お客様の反応・反響をいただきながら、コツコツと改善に努めてまいりました。2025年には『大人のやる気ペン』という、対象を大人に拡張し、資格試験などの勉強を応援する商品も発売しました。

実は、我々は開発を進める中で「ゲーミフィケーション」という言葉を一回も使ったことがないんです。お客様の声を聞きながら体験を改良してきたことが、「ゲーミフィケーションと呼んでもいいんだ」と、今日改めてお墨付きをいただいたと思っています。

これまで『しゅくだいやる気ペン』でやる気になる秘訣は何なのか、ということをなかなか一言で語ることが難しかったのですが、これからは胸を張ってゲーミフィケーションという言葉を使って、皆様にお届けできたらと思います。

人生100年時代のこれからは、学ぶこと自体が非常に重要になっていくと思います。我々は学び続ける人々を、ゲーミフィケーションでしっかりと支えるサービスを広げていきたいと考えています。


< 審査委員コメント >

遊びと学び研究所 ゲーミフィケーションデザイナー Lv.99 岸本 好弘(きっしー)氏

これは、上手いですよね。皆さん、子どものころ宿題は好きでしたか? 嫌いな人、結構いますよね。これは保護者にとっても嫌なことで、自分の子どもに「宿題やりなさい」と日々言っている方も多いと思います。

それをどう解決するかという中で、この『しゅくだいやる気ペン』はなんとWin-Winにしたんですよね。子どもも宿題を自分からやりたくなるし、保護者の方も「今日の宿題どうだった?」と聞きたくなるような仕組み。「宿題」という今までネガティブだった言葉をポジティブワードにしたところが、まさにゲーミフィケーションの肝です。当然、製品も評価されていますが、その思考が重要だと思います。

2025年は『大人のやる気ペン』も発売されています。まさにリスキリングの時代で、大人も学ぶためのモチベーションが必要なのかなと思います。多分これからは高齢者向けの、リハビリなどをサポートする製品が出てくるのではと期待しています。受賞おめでとうございます。


● Future Award


Future Awardは、チームみらいの『アクションボード』が受賞しました。『アクションボード』は、政治参加のハードルを下げ、楽しく取り組めることを目的としたプラットフォームです。アクションの可視化やランキング、バッジ機能を通じて全国のサポーターたちが楽しみながら政治活動に参加できる環境を提供しています。

『アクションボード』詳細


< 受賞コメント >

チームみらい エンジニアチーム 村井 謙太 氏

この度はこのような賞をいただき、誠にありがとうございます。『アクションボード』はチームみらいという政党で開発したツールで、ボランティアのサポーター約50名を中心に開発を進めてきました。関わってくださった全ての人に感謝を申し上げます。

チームみらいという政党は、今年の5月の頭に立ち上がった政党で、7月の参議院選挙で国政政党となりました。地盤も資金も一切ない環境で、ゼロから立ち上げる取り組みだったので、サポーターの方々にゲーミフィケーションを通じて楽しく応援していただきたいというのが、開発の一つのキーとなっていたと思います。

『アクションボード』は、サポーター主導のもと、わずか1か月という短期間で開発したツールです。選挙期間中、全国に10万枚以上の選挙ポスターを貼るにあたり、デジタルマップを活用してポスター掲示状況と個人の貢献度をリアルタイムで可視化しました。これにより、サポーターのみなさんにポスター貼りを楽しんでいただきつつ、効率的な作業分担を実現した形です。ツールの開発、そしてツールを活用したポスター貼りにあたって、非常に多くのサポーターの方々に、ご協力いただくことができました。

チームみらいは今回(2025年7月の参議院選挙にて)、約150万票という大きな票をいただいて、党首が議員となり、国政政党になりました。サポーターの皆さんが、チームみらいを支えてくださったからこそ、今回の結果があると思います。

これからもゲーミフィケーションを活用しつつ、政治参加のハードルを適切に下げるようなアクションに引き続き取り組んでいきたいと思っております。改めて素晴らしい賞をいただきありがとうございました。


< 審査委員コメント >

立命館大学 映像学部 准教授 井上 明人 氏

『アクションボード』の取り組みを初めて見たときに「ついに日本にもこれが来たか」と思いました。『ゲーミフィケーション』という書籍でも書いたのですが、アメリカの2008年の大統領選挙で、民主党のオバマ氏がまさにこの『アクションボード』のような手法を使って選挙戦を戦い、資金力の差があったにもかかわらず、大きなポイントになったんです。

それ以来、海外の政党でそういったゲーミフィケーションを用いた政治参加促進の取り組みが行われています。これにはもちろん批判もあって、よく考えずに「なんとなく楽しいから」で政治参加することには、やはり慎重にならなければいけない。

ただ、今の世界の政治状況は必ずしもいいと言えるものではないので、未来を作る礎として、今後より評価にさらされていくものを作っていただいたと思います。今後、今のサービスを社会に投げかけるような形でより良くしていただければと思い、選出しました。本当におめでとうございます。


● Challenge Award


Challenge Awardを受賞したのは、花王株式会社『しずかなおそうじ』。花王の住居用洗剤ブランド、『マジックリン』や『クイックル』の商品を活用しながら掃除を進め、別荘に秘められた謎を解き明かしていく3D探索型ホラーアクション掃除シミュレーションゲームです。「掃除が簡単で楽になる方法を多くの人に知ってもらいたい」という思いで開発されました。

『しずかなおそうじ』詳細


< 受賞コメント >

花王株式会社 ハイジーンリビングケア事業部門ホームケア事業部 佐々木 貴悠 氏

この度は、このような輝かしい賞をいただきまして大変光栄に思います。数々の素晴らしい取り組みがある中で、『しずかなおそうじ』を選出いただきまして、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

また、今回のこのチャレンジングな取り組みを支えていただいたWhatever様、クリエイターの方々、そして『しずかなおそうじ』を実際に体験いただいた全ての方々に感謝申し上げます。

我々は、マジックリンやクイックルといった掃除用品のマーケティング活動を行う中で、若年層の方々に掃除に興味関心を持っていただけないことを歯痒く思っておりました。どうやって掃除に興味を持っていただき、商品の認知につなげていくかという課題を持っていました。

今回、ゲーミフィケーションの考え方を我々なりに取り入れたホラーゲームの中で、実際にマジックリンやクイックルを使いながら、掃除を疑似体験し、知識を学んでいただけるようにしました。

当社のマーケティングでゲームを活用することは初めての取り組みでしたが、大変ありがたいことに想像を上回る反響をたくさんいただきました。「掃除が本当に楽になりました」「こんな掃除方法があるとは知らなかった」という嬉しいお声をたくさん頂戴いたしました。

我々も、ゲーミフィケーションが持つ可能性の大きさを改めて実感しました。今後もこの歩みを止めることなく、今回得た知見や経験を生かして次のチャレンジをしていきたいと思っているので、引き続きぜひご支援、お力添えいただけたら幸いです。


< 審査委員コメント >

東京大学大学院 情報学環 教授 藤本 徹 氏

この『しずかなおそうじ』は、ゲーミフィケーションの中でも「アドバゲーム」というジャンルに当たります。アドバタイズメント、つまり広告とゲームを掛け合わせた手法をアドバゲームと言います。

このジャンルは商品のマーケティング手法として普及した時期がありましたが、最近は下火になっていたところ、今回非常に面白い取り組みでした。この分野(アドバゲーム)で大事なのは、商品がただ出てくるだけで終わりではなく、商品を使って何かを体験をすること。『しずかなおそうじ』ではそこを大事にされていたのがとても良かったです。

ゲーマーさんからの評価も非常に高かったということで、ゲームとしても評価される作品になっているというところがポイントになったと思います。次の作品でも「これはやりすぎだろう」というレベルを目指して頑張っていただければと思います。おめでとうございます。



■ 受賞作品以外にも、注目の取り組みが多数

審査委員を務めた井上氏は、残念ながら受賞を逃した企業・団体の中にも、目を引く取り組みがあったとして紹介しました。

「生成AIを使ってゲーム自体をプログラムしている作品がありました。これは非常に重要な動向です。というのも、ゲーミフィケーションは究極、他人に誘導されるのではなく、自分がやりたい方向にセルフコントロールできるようなゲームを、自分自身で作れるというのが理想。生成AIは、それが可能かもしれないと感じさせてくれるテクノロジーです」(井上氏)

ゲーミフィケーションの理想のあり方を実現するようなゲームが、生成AIによって形になりつつあることが、非常に大きなポイントだったと評価しました。

審査委員の谷氏は、今回のアワードおよび3つの受賞作品を振り返り、「我々審査委員も非常に悩んだ中でこの3件を選ばせていただいた」とコメント。「多様な分野の取り組みがあったので良かったです。今後は、会場にいる皆様とゲーミフィケーションで社会課題を解決していく取り組みをできたらという思いがあります」と語り、次につながるアワードになったと締めくくりました。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
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文責:マーケティング・コミュニケーション課

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