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ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィ
ケーション
1.0から2.0へ

これまでのゲーミフィケーションは、その手法にばかり⽬がむけられてきましたが、ゲーミフィケーションの持つ本質的な価値は、「対象者の内発的欲求を引き出し、気持ちを動かして行動を促す」ことにあります。「ゲーミフィケーション」と聞いて思い浮かぶ「バッジ」や「レベル」などの各手法は、ゲーミフィケーションが持つ価値を扱いやすくフォーマット化したにすぎません。では、これを仮に「ゲーミフィケーション1.0」とするならば、この「対象者の内発的欲求を引き出し、気持ちを動かして行動を促す」より人間の本質的な部分に着目した体験設計のアプローチは、「ゲーミフィケーション2.0」といえるのかもしれません。
以下では、より進化した単なる手法論にとどまらない「ゲーミフィケーション2.0」について説明します。

人間の本質的な部分へ着目する
ゲーミフィケーション2.0

ゲームで使われる手法をそのまま活用するのが「ゲーミフィケーション1.0」とするなら、人間の行動や認知の本質的な仕組みに着目した体験設計を「ゲーミフィケーション2.0」と定義します。
「ゲーミフィケーション2.0」 は、人間の本質をとらえたアプローチで体験設計を行う為、様々な分野や業界のあらゆる課題に対してゲーミフィケーションの実装が可能になります。ベースとなるナレッジはゲーム業界が培った経験則や技術体系から心理学‧行動経済学‧行動分析学などを応⽤して、人間の行動や認知を理解しながら体験設計を行っていきます。

「ついやりたくなる」人を動かす
8つの属性

人には「ついやりたくなってしまう」8つの属性があります。

取り組む商品やサービスなどの課題に対して、適切なターゲットを見極めて、それに応じた「ついやりたくなる」人を動かす8つの属性を活用することで、体験設計の足掛かりにすることが出来ます。それでは、人を動かす8つの属性についてそれぞれ説明していきます。

進展性

進展性は、前に進む‧広がる変化を好む属性です。

ラジオ体操でスタンプを押してもらえることで、日々達成感を感じた記憶はありませんか? 学生時代に偏差値やテストなど、点数の変化に⼀喜⼀憂した方もいると思います。数値化された指標の変動や日標に対する進捗が可視化されることに対し、強く動機付けがなされる属性が進展性です。ゲームUXでは「経験値をためてレベルアップ」「ミッションを1つずつクリアする」などのシーンで活用されます。

保持性

保持性は、所有、あるいは自分好みに設計することを好む属性です。

子供時代にブロックを組み立ててオリジナル作品を作りあげたり、様々な服を集めて着せ替え⼈形を楽しんだりという記憶はありませんか? このような収集や自分用にカスタマイズできるものに対し、愛着を持つなど強い動機付けがなされます。ゲームUXでは「自分だけの街を作る」「自分のアバターをカスタマイズする」といった形で使われています。

希少性

希少性は、手に入りにくいものを好む属性です。

期間限定セールの文字を見かけて特に欲しいものはなくても確認してみた経験や、先着100名のキャンペーンにエントリーをした経験がある方もいるでしょう。制限や限定がされたものの価値を過⼤に評価し、購買などに対して強く動機付けがなされる属性が希少性です。ゲームUXでは「1日1回限定」「超レアアイテム」などが挙げられます。

固有性

固有性は、「やらなければいけない」と自分ごと化される属性です。

日本代表が世界⼀を決める決勝戦に出場した際に見届けなければと駆り立てられたり、大きなプロジェクトを任されてやり遂げなければと強く感じたりする状況を思い浮かべてください。自分の役割が明確な場合や共感する物語に対して自分ごと化されると、やらなければいけないと強く動機付けがなされます。ゲームUXでは「ストーリー」「世界観」などで活用されています。

忌避性

忌避性は、「得を得るよりも損を回避したい」と感じる属性です。

食べ放題のお店で、元を取りたいからたくさん食べようとした経験はありませんか? また、今を逃すともうチャンスはないと⾔われてつい購入してしまった商品などもあると思います。ゲームUXでは「自分の所有物が一定時間で使えなくなってしまう」「一定時間遊ばないとレベルが下がってしまう」などの形で用いられています。

創造性

創造性は、自分の意思で選べる選択肢がある時に有能感を抱く属性です。

文化祭でクラスの催しを仲間と作り上げていく過程の楽しさや、トランプのゲームで相手の手札の予想が当たった喜びをイメージしてみてください。人間は特定の制限下において、自ら選択肢を選べることで有能感が高まります。ゲームUXでは「デッキ編成」「武器の組み合わせ」といった用いられ方をしています。

社交性

社交性は、社会とつながりたいと感じる属性です。

SNSで自分が投降した内容に「いいね」が付くと嬉しく感じませんか。困っている人に自分が答えを教えることで、喜びを感じた⼈もいるでしょう。このように、社会や他人とつながりを感じることに強く動機付けがなされる属性が社交性です。ゲームUXでは「友達招待」「複数人プレイ」などで活用されています。

偶発性

偶発性は、運の要素を通じて驚きや発見に喜びを感じる属性です。

福袋を購入する時や学⽣時代の席替えにドキドキした記憶はありませんか?自分の能⼒とは関係なく、運の要素によって結果が変わるものに対して人間は強く動機付けがなされます。ゲームUXでは「ガチャ」「レアキャラクターとの遭遇率」などの形で利用されています。

人を動かす8つの属性と72の行動ドライバーをまとめた
「ゲーミフィケーションボード」

「ついやりたくなる」を促す人間の8つの基本属性を踏まえ、それらを実現する具体的な手法を⼀つの基本属性に対してそれぞれ9つ定義しています。ターゲットの属性を見極め、それに応じた行動ドライバーをもちいることで、様々な課題に対して効果的なゲーミフィケーション施策を選択することができるようになります。人を動かす8つの属性と72の行動ドライバーをひとつにまとめたものが下図の「ゲーミフィケーションボード」です。

72の要素の中から例として「進展性」の要素を取り上げて解説します。

進捗可視化

行動やスコアなど、現在のステータスを⾒える化(レベルアップゲージなど)

アクションポイント

サービス利用行動によって蓄積していく数的スコア(経験値など)

初心者設計

サービスの利用開始時に、次に何をすべきかを⼀本道で順番に提示(チュートリアルなど)※説明を読ませるのではなく、生活者にタップやクリックなどの行動を促す

段階ゴール

生活者が目指すべき目標を段階的に設定(レベルなど)

ランキング

スコアなど定量的な情報を他⼈と⽐較しながら出し、自分の位置を相対的に提示(リーダーボードなど)

インタラクト演出

生活者がサービスに対しインプットやアクションをした際に、即時にレスポンスをビジュアルで表現
(画面タップ時のエフェクトなど)

称号

一定の行動を達成した際、名誉として非金銭的な肩書きなどを授与(メダルや通り名など)

指標可視化

生活者のサービス内における行動を指標化(体力ゲージなど)

天井

最終的に目指すべき定量的な目標値を設定(レベルの上限値表記など)※段階ゴールとの合わせ技で使われることも多い

「ゲーミフィケーションボード」の活用領域

「ゲーミフィケーションボード」を活用したフレームワークは非常に汎用的で、
大きく分けて3つの活用シーンがあります。

サービス評価(客観評価)

サービスに具備されている機能を、フレームワークの72要素にマッピングし定量化することで、サービスへの没入度(当社ではサービス没入度を「粘着度」と呼称しています)をスコア化することが可能です。また自社サービスと同じカテゴリーのサービスの没入度スコアを比較することで、相対的な没入度の優劣を図ることもできます。

サービス改善(改善設計)

自社サービスを、ユーザーにとってより没入度の高いサービスに昇華させていくために、現時点で実現している当該サービスや商品のさまざまな価値要素を洗い出し、改善の方向性を示唆することが可能です。

サービス設計(価値創出)

新たなサービスや新規事業を立ち上げる際、どの属性に対して没入度を喚起するのか定めた上で、必要な要素をピックアップすることで、没入度の高いサービスを創出するヒントとして活用することができます。

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